太田恵美子の「本気塾」 in 栃木市 の授業
by GDVI
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素晴らしい
2007/4/8下野新聞「日曜論壇」の記事が「 サンパウロでも成果実感」
三年前、NHKのテレビで「河合隼雄と太田恵美子の対話」という番組が放映された。
しばらくしてブラジルの日系二世の大学教授、山田和代さんから電話があった。サンパウロで
この番組を見て、GDV教育についてもっと深く知りたいと私を探したとのことだった。
「ブラジルでもこのような教育が必要ですか」と尋ねると、即座に「もちろん、とても重要です」との答えだった。それから三年。突然、「サンパウロに来て実際に授業をしてほしい」との申し出があり、二月十日から二十七日まで、真夏のサンパウロを訪れた。
現在、私は栃木市に招かれ、「本気塾」や寺尾中学校でGDV教育に取り組んでいる。日本ではこの教育が「心を育てる特効薬」になり得ることを二十年近くかけて実践、実証してきた。かねてより世界の子供たちに取り組んてもらいたいと考え・・・
ていたので、その基盤をつくるよい機会だと考えた。
今回は二つの大学と一つの小学校で授業をし、ほかに講演などもあり、予定がぎっしり詰まっていた。授業は栃木市と同じにGDVの最初の段階「草に語りかける」に取り組んだ。同時通訳は日系の方で、私や学生の言葉を的確に訳してくれた。
最初、学生たちは「いままで気にもとめなかった草に語りかけるなんて」と驚いていた。しかし五感をとぎすませ、草を体中で感じながらスケッチをし、草との対話を書き込んでいるうち、すべての学生は自分の世界に入り込み、静寂な中で三時間はアッと言う間に過ぎた。アニエンビモルンビ大学一年の野性味あふれる男子学生は、画用紙と草を手に持ち、教室の片隅の机の下に潜り込み、草と自分だけの世界で対話し、スケッチをしていた。
このようにGDV教育では、年齢も性別も肌の色も関係なく素直で純真になってしまうことが、いつも不思議だ。全員の前で発表する際、さきほどの男子学生は「草君もぼくと同じ境遇だね。ぼくはたった一人で遠くの小さな島から都会にやってきて、とっても寂しいよ。君もたくさんの仲間の中から抜かれてきて寂しいだろ。君の気持ち、よく分かるよ」と自分の胸のうちを語っていた。エスぺエム大学の三年生も、友人の発表を聞きながら涙をぬぐっていた。
サンパウロの公立の小学校に通う子供は貧しい家庭の子が多く、将来への明るい展望はない。学校には給食があるから来るのであって、授業はなかなか成立しないという話を授業の前に聞かされた。しかし三時間続きの私の授業では私語一つしなかった。全員が草と語り合った内容を発表し、感動的だった。
参観された先生たちも驚いていた。
この子供たちにもよい教育がきちんとなされるなら、確実に社会に貢献できると私は確信した。通訳の方は「この教育は言葉の壁を越えた」と叫んだ。慣れない環境での授業でへとへとになったが、やり遂げてよかったと思った。来年はブラジル移民百周年、サンパウロ大学の学生が「来年は私たちが先生を呼びます」といってくれた。(栃木市教委参事)
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